岡山大学法科大学院弁護士研修センター(Okayama University Attorney Training Center、OATC)は、岡山大学法科大学院出身の新人・若手弁護士を対象に、地域に不可欠であり、かつ、専門性の高い組織(自治体、医療機関・福祉施設、企業等)内で生じている法的問題について研修を実施する岡山大学法科大学院の附属施設です。ここで研修を受けた弁護士は、「組織内弁護士」として、自治体、医療機関・福祉施設、企業等地域の様々な組織に派遣され、地域ニーズに対応したより質の高いリーガルサービスを広く提供することを目的とします。公共性が高く中立的立場にある OATCが、各組織と新人・若手弁護士を結び付ける、いわば「橋渡し役」として地域の各組織と連携し、新人・若手弁護士を「組織内弁護士」として地域で育てていこうという趣旨です。
従来、法科大学院は、専ら法科大学院生に対して教育を行ってきました。しかし、OATC構想においては、岡山大学法科大学院が、全国に先駆けて、司法試験合格直後の新人弁護士、あるいは一定の経験を経た若手弁護士に対し、「法曹継続教育」という形で専門教育を行う点に特徴があります。これまで、特に新人弁護士教育は、既存の法律事務所が一手に担ってきました。地域において専門性の高い弁護士を、継続的かつ安定的に増やしていくためには、多様な専門家(研究者集団、実務家集団)を有し、専門教育のノウハウを有する岡山大学法科大学院自らが、既存の法律事務所を補完する形で、「組織内弁護士」を養成し、新人・若手弁護士教育の一翼を積極的に担う必要があります。
OATCは、以下の機能を有します。
1 OJT(On the job training)機能
新人・若手弁護士は、合同法律事務所に所属し、弁護士業務を行います。
2 キャリアセンター(人材バンク)機能
新人・若手弁護士を自治体、医療機関・福祉施設、企業等に派遣します。
3 シンクタンク機能
研究機関として、実務・理論両面からの先端法分野の研究を行います。
地方分権の時代において、地方国立大学法科大学院は、地域活性化のため、地域再生の核として、より積極的に地域と連携し、地域に貢献することが求められています。OATCは、専門性の高い弁護士の養成及び派遣を通じて、地域ニーズに対応したリーガルサービスを提供し、地域社会の核である自治体、病院、福祉施設、企業等の支援を行います。社会的ニーズに即したリーガルサービスを提供するという司法改革の本来の理念を具体化するための地方国立大学法科大学院による新たな試みといえます。岡山大学法科大学院は、創立以来の理念である「地域に奉仕し、地域に根差した法曹養成」のさらなる実現を図るべく、岡山大学法学部とも連携しつつ、中四国地方における法曹養成拠点として、地域ニーズに柔軟に対応した継続的・組織的な人材養成を目指します。